欲望の大きさについてわたしが思うこと

いろいろエッセイ
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 最近、わたしは人生のステップアップとして働いてみるのもどうかと思うようになって、いろいろ考えるようになった。働けば収入が入る。となれば、やりたいことをかなえることができる。言ってみれば、働いていない時よりはより多くの欲望を充足することができるようになる。お金というものは使うことによって欲望を充足し、やりたいことをかなえることができるのだ。
 と働いてみようかと思っていたのだけれど、今朝あることに気付いてしまった。それは欲望の大きさについてだ。以下、今朝わたしがメモ帳に綴った文章をここで皆さんとシェアすることにしたいと思う。

 上昇志向。よく考えてみるとわたしは上へ上へと上がっていこうとしていた。進歩向上し前進していきたいと思っていた。
 仕事をする。働く。まるでそうすることによって自分の価値も一緒に上がっていくかのような感覚になっていた。でも、ふと立ち止まって思う。それは本当に自分がやりたいことなのだろうか、と。世間や身近な人で言えば母が理想的な姿として求めてくるその方向性で高得点を取ろうとしていただけなんじゃないのか。本当はやりたくないのに無理をして発破をかけて、やりたくないこと、あまり気が進まないことをやろうとしていただけなのではないか。
 お金はほしい。もっとあったらとは思う。けれど、そのお金で何かやりたいことや買いたい物があるかと言えばそういうわけでもない。今の障害年金だけであってもギリギリほしい物は買えている。今のままでいいと言えばいい。高望みをして贅沢をしようと思わなければ別に何も困っているわけではない。
 少ない収入で少ない支出をして暮らしていく。ハイクラスな生活やリッチなものは求めないとすれば今だって十分悪くはない。
 わたしはどのような生活をしたいのか? 今よりも働いて収入を得てゆとりのある暮らしをしたいのか? それとも今のままで働かずにほぼ必要最低限の生活を続けるのか? つまり欲望を大きくするのか、それとも今くらいの欲望で良しとするかどうかだということだと思う。
 欲望を大きくしていこうとすればそれはどこまでもどこまでも肥大していく。どこで満足するのか、どこで折り合いをつけるのか? 要はそこだと思う。
 今の生活のいい所は自由な時間がたくさんあって、ほぼフリーだということだ。やりたくないことは何もやっていないし、本当に自由気ままでストレスの少ない生活だ。
 これから自分自身の欲望を大きくしていくのか、それとも今くらいのままで良しとするのか、あるいは欲望を小さくしていき、むしろ手放していくのか? この方針というか指針、方向性をよく考えた方がいいんじゃないか。欲望の大きさが今のままでいい、あるいは縮小していくのであれば何も無理をして働く必要もあるまい。
 本当に欲望を大きくしていくことがいいことなのか、そしてそれを自分は本当に望んで求めているのかどうか、じっくり考えていけたらと思う。
 ミニマリストの本を読んでみるのもいいかもな。断捨離とか。

 物事、その中でも特に人生をどのように生きていくかということについては方向性をしっかりと決めることが必要だと思う。自分が何を望んでいて、何をしたくて、そのためには何が必要で、そこから今自分は何をする必要があるのか。そうしたことを冷静に考えていく必要があるのだとわたしは思う。お金にしても自分にはどの程度必要なのかを自分自身に問いかける作業は欠かせない。それをしないとただ闇雲に目的も何もなく、いたずらにお金を手に入れることだけを考えるような生き方になってしまう。お金はあった方がいいから。お金がないとみんなから蔑まれるから。恥ずかしいから。みんな働いていてお金をある程度持っているのが普通だから。たしかにそうした考えももっともではある。けれど、戦略的に人生を考えていくのであれば何も必要以上にお金を稼ぐ必要はない。お金をたくさん稼いでたくさん寄付をしたいとか、子どもに残してあげたいとか、そういうことであれば、それはそれだけのお金を必要としているということであって、その人にとってはその寄付する分とか遺産として残す分が必要だということを意味する。でも、そうしたはっきりとした使い道もなくただ漠然とお金を得たいと思うだけなのであれば、そのために働くなり何なりして使う時間や労力がもったいないような、そんな風に思えてならないのだ。
 自分にどれだけのお金が必要なのかを考えるにあたって、わたしが気付いた大切なことは自分の欲望をどの程度にするかということ。これは本当に個人差があると思う。1年に1億円あっても足りないという人もいれば、本当にギリギリの最低限度の生活ができるくらいあればそれで十分という人もいる。どちらが正しいかとか、どちらの方が上かとか優劣を付けることはそもそもできなくて、ただ人によって必要なものは異なるから、まぁ、たくさん必要とする人はたくさん必要として、少なくてもいい人は少なくてもいいんだなという話だと思っている。でも、わたしの個人的な意見としては毎年1億円使ってもそれでも足りないというのは無駄なものに費やしていると思う。でも、その人にとってはそれが必要なんでしょうから人のことに口を挟むつもりはないけれど。
 自分の欲望と向き合うと自分というものがはっきりと見えてくるように思う。というのは、時間とお金の使い方はその人の生き方をこれでもかと言うくらいはっきりと示してくれるからだ。
 わたしの欲望。そして、その大きさ。たしかにこれ以上は削れないという最低ラインはあるものの、必要最低限の普通の暮らしができて、そしてあとちょっと本とかちょこちょこ買えればそれでいいかなというのが本音のところだ。一時期は大きな野望をふくらませて、大きな豪邸に住んで贅沢に暮らしたいものだと地に足のつかないことを考えていたものだけれど、冷静にそれを自分が本当に望んでいるのだろうかと考えてみたら、それは必要ないことだと思った。高望みをしようと思えばどこまでも欲望は大きくなっていく。そして、それに際限はない。どこで見切りを付けるか。それがどうしてもできなくて、どうしてもこれをやりたいのだと諦められないものが現れたら、言われるまでもなくわたしは働きお金を手に入れようと奮闘するだろう。でも、今はそこまでして手に入れたいもの、それもお金が必要な物だったり事というものがないんだ。これってすごく幸せなことなのかもしれないとも思う。いわば現状におおむね満足できているのだろう。だから、今の生活を大きく変えてまでして働こうとか何かお金を得るためのことをやろうという気持ちがわかないんだ。進歩がない人間? 現状に甘んじているだけなのでは? たしかにそうかもしれない。でも、どこまでもどこまでも欲望を際限なく肥大させていく生き方の方がたちが悪いと言えば悪い。死ぬまでひたすらどこまでも進歩向上を目指して限界を突き破っていく。それはそれでいい。それをやりたいという人をとやかく言おうとは思わない。「お好きにどうぞ」と言うしかない。だから、わたしがどう生きようと過干渉したりせずに「お好きにどうぞ」と見守ってもらえたらなと思う。
 欲望をどこまでもかなえて、アグレッシブに上昇していく生き方。そのためには一生懸命エネルギッシュに全力投球するような姿勢が求められる。いつだって振り落とされないように真剣勝負なのだろうし、いつだって手を抜くことができない。高校までのわたしはそんな情熱的な生き方に魅せられていた。けれど、年を重ねて人生をそれなりに生きてきたら、それも疲れる生き方だなぁってある意味冷静に眺めることができるようになった。ほどほどでいいんじゃない? ぼちぼちだって悪くないと思うけど? そして何よりもいつも全力で走るなんてそんなの無理。だから、減速して適度に物事を手放していき、少しの欲望で充足できるような生き方に魅力を感じるようになってきたんだ。と言いつつも若い頃の気性というものは、3つ子の魂100までとも言うように、努力礼賛型の生き方がどうしても抜けきれない。つい、気が付くと過剰に活動してしまいベッドへバタンキューとなるまでやってしまう。そんなわたしだけれど、少しずつ変わってきてはいる。人間は変わっていく存在。だから面白い。
 必要のないほどたくさん働いて、そしてその反動で必要のない物をたくさん買い、必要のない贅沢をして、必要のないサービスを消費する。それに加え、仕事のストレスを解消するために必要のないほどのカロリーを摂り、必要な運動は全くしないで必要のない脂肪を体にたくさん蓄えて健康を害する。さらには必要のないほど働いて得たお金を使いきれずにたくさん残して死んでいく。だとしたら、その人生って何だったのだろうという疑問が残ってしまう。よく働く人でした。お金をためるのが好きな人でした。チーン、合掌で終わり。
 時として自分の欲望の大きさが分からなくなる時もあるけれど、そんな時はただ黙って自分自身を観察することができたらと思う。そして、しっかりと自分の欲望がどれくらいの大きさなのか確認した上でそれに見合った生き方をしていきたい。また、自分にとってその大きさが適切かどうかということも見定められたらと思う。そのほしいと思う物。そのかなえたいと思うこと。つまり、その欲望は適切か? それを自分は本当に充足させたいと思っているのか? 流されず冷静になって判断していきたい。そして、さらには必要のない物を手放して身軽に生きていけたらと願わずにはいられない。
 それは本当に自分にとって必要なのか? 本当にほしいものなのか? 欲望の一つひとつにしっかりと向き合いつつ、ていねいに日々を送れたらと思うわたしなのであった。



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