わたしたちは幸せになりたいと願う。それは誰にとってもごく自然な本能である。
幸せを追求していった時にある地点に立ち止まるのではないか、というのがわたしが最近思うことである。それは自分だけが幸せならそれでいいのか、という決定的な問いかけである。
人間が幸福を求めていくこと。それ自体は悪いことでも何でもない。人間には誰しも幸福を追求する権利があるのだから、それは自由だし自然なことだ。けれど、自分とその周りの人だけが幸せでもどこか空しいような、そんな気持ちにわたしは包まれ始めた。
自分とまわりの人だけが幸せならそれでいい。そう思う人もいることだろう。でも、どこかその考えが幼稚なような、つまりは精神年齢が低いようなそんな気がしてきたのだ。
わたしが成熟してきたのだろうか。一時は、文筆活動をして死後に文章を残したいと思ったこともあったが、それって一体どうなんだろう。そんなことを考えるようになった。困っている人がいるのに何も手を差しのべようとしない。やっていることは自分の幸福の追求だけ。そんな自己中心的な自分の姿に対して疑問を抱くようになった。
日本には、もっと目を広げるなら世界には困っている人たちがたくさんいる。不幸のどん底でのたうち回っている人がいる。あるいは、そこまでいかなくても人生を諦めてしまっている人がいる。
わたしに何かできることはないか。できることなら多くの人を助けたい。特に貧困による飢餓をどうにかしたい。わたしが何かやろうとしても、どうにかできないのかもしれない。何せ、専門家がいるにも関わらずこの問題は存続し続けているのだから難しい問題なのだろう。一筋縄ではいかない問題。
以前、教会のお話をする会の時に、わたしが飢餓の問題について胸を痛めていることを語ったら、みな苦しそうな顔をして困ってみせた。でも、それで終わりなのだ。その時、2~3分胸を痛めて終了。わたしも関心が持続してこなかったので、人のことは言えないが、みんなその程度なのだ。
どうすれば飢餓をなくせるのだろうか。学校へ行くのはお金がかかるから、まずは関連した本を読みながら考えてみようと思う。独学でも結構高い見識が得られるかもしれない。
自分のためだけに生きるのではなく、人のためにも生きる。それが素敵な生き方ではないだろうか。と言うよりも神様がわたしをそちらの方へ誘導してくださっているように思える。キリスト教の神髄。それは他者のために自分の命を捨てることである。捨てるまでいかなくても、受けるよりも与えることである。
ここまで書いてきたことへの心境の変化のきっかけはある歴史漫画を読んだことだった。その漫画ではナイチンゲールが取り上げられていた。そして、なぜか彼女のことをもっと知りたくなって伝記を読んだ。(まだ途中だが)そうしたら、彼女の人格にわたしは打たれたのだった。彼女は真面目なのだ。本当に真面目なのだ。彼女は神のみ心にかなう生き方をしたかった。そして、それを実行した人物だった。そこにナイチンゲールの凄さがある。まだ伝記は途中で30歳頃の彼女のことまでしかわたしは知らないのだけれど、それでも心がビシビシ打たれる。彼女の生き方を通してわたしに神様が語りかけてくださっているような感じなのである。
理想の自分と現実の自分。この両者はかけ離れていて、ナイチンゲールもそのことに悩んだ。わたしも同じだ。こうありたいという自分の姿は一応あるのだけれど、それからほど遠い現実のわたし。聖くなりたいのに、聖くなれない俗物のわたし。何にもできていないわたし。「ま、いっか。」と開き直らないところも彼女のすごいところで、わたしなどとは大違いなのである。
ナイチンゲールを知り始めたことによって、生き方が変わりそうな予感がする。いや、もう変わりつつあるわたしである。
行き当たりばったりなわたしの人生だけれども、神の導きのままに歩んで行けたらと思う次第である。
1983年生まれのエッセイスト。
【属性一覧】男/統合失調症/精神障害者/自称デジタル精神障害/吃音/無職/職歴なし/独身/離婚歴なし/高卒/元優等生/元落ちこぼれ/灰色の高校,大学時代/大学中退/クリスチャン/ヨギー/元ヴィーガン/自称HSP/英検3級/自殺未遂歴あり/両親が離婚/自称AC/ヨガ男子/料理男子/ポルノ依存症/
いろいろありました。でも、今、生きてます。まずはそのことを良しとして、さらなるステップアップを、と目指していろいろやっていたら、上も下もすごいもすごくないもないらしいってことが分かってきて、どうしたもんかねえ。困りましたねえ、てな感じです。もしかして悟りから一番遠いように見える我が家の猫のルルさんが実は悟っていたのでは、というのが真実なのかもです。
わたしは人知れず咲く名もない一輪の花です。その花とあなたは出会い、今、こうして眺めてくださっています。それだけで、それだけでいいです。たとえ今日が最初で最後になっても。