星の読書日記9冊目「心臓の病気になりたくない、死にたくない人必読の1冊」~コールドウェル・B・エセルスティン・Jr.『血管をよみがえらせる食事』

星の読書日記
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コールドウェル・B・エセルスティン・Jr.『血管をよみがえらせる食事』


 久しぶりの読書日記でございます。ご無沙汰です。って、前置きしている場合ではない。この本を読んだ感想を書かなくては。
 単刀直入に一言で申します。この本の食事法は大変ストイックです。なかなか、というか普通の人は無理ですよ、こりゃあ。わたしのようにヴィーガンで菜食生活をしている人にとっては大して変化なくこのエセルスティン先生の食事法を実践できますけれど、普通の人にはかなりハードルが高いでありましょう。
 でも、普通の人、ではなくて、心臓病とか脳卒中とかで本当に困っていて、もうやれることがなくて藁にもすがる思いなんだ、という人には画期的な情報だと思う。もう心臓病でいつ心臓が止まってもおかしくない。もうやれることがないから死ぬのをひたすら待っているだけとか、脳卒中で苦しい思いをしているとか、そんな人にはまさに朗報だ。
 本当はそうなる前に生活を整えて予防しておくことが大事だというのは言うまでもない。うまいからと言って動物性の脂肪をしこたま大量に摂り続けていれば、そりゃあ血管が詰まる。
 この本を読んだ人の感想をネットで少しばかり調べてみたら、心臓病の人にはいいかもしれない、との意見が多かった。つまり、普通の人にはそこまでの食事制限は必要なくて、まぁ、ぼちぼちお肉を食べて、乳製品摂って、好きなものを食べてとやっていればいいのだ、とね。
 でもね、もしもこれだけストイックな食事をやっていたら病気知らずでぽっくりというか、苦しむことなく老衰で死んでいけるんじゃないかっていう気がしてきた。
 この本の内容を簡単に要約すると、菜食しましょう。徹底的に菜食をしましょう。野菜、果物、豆、精製していない穀物をしっかりと食べましょう。お塩と油(オリーブオイルや体にいいとされている油もダメ)と砂糖もやめましょう。とにかくナチュラルライフを送るのです。そうすればヘルシーライフが送れて万々歳です。そんな本なのだ。
 そんなことを言うと必ず反論が待っていることは言うまでもない。お肉を食べないで元気が出るんですか、とか、コレステロールが高い方が長生きするって聞いたんですけど、とか、いろいろ出てくると思う。でも、そういった疑問や反論にはちゃんとこの本の中で答えられているので、まぁ、詳しくは本を読んでください、なのだ(はしょりすぎだろ!)。
 長々と200ページあまりもの文章で著者が言いたいのは至ってシンプルなことで、総コレステロール値を150mg/dl以下、LDL値(悪玉コレステロール値)を80mg/dl以下にすればいい。そうすれば、脂肪やコレステロールを冠動脈の中に堆積させることはできない、とのことなのだ。そのために菜食をして、動物性の脂肪を摂らないようにする。そして、場合によっては医師の指導のもと、コレステロールを下げる薬も使う。
 とまとめましたらだいたい書くことがなくなったので、今回はこんな感じで。じゃあね、と思いきや、まだありそうなのでもう少しお付き合いを。
 地球の全人口の4分の3の人たち、というのは心臓病にはなっていないそうなんだ。で、どうやら肉食と心臓病や脳卒中などの生活習慣病というのは関係があるらしくて、肉を食べないで菜食をしている地域の人たちというのは至ってスリムで健康的とのこと。つまり、お肉というのがすべての引き金のようなんだ。動物性の脂肪、それが元凶。
 考えてみれば、たとえお肉を食べたとしてもまだ運動をしっかりしていれば違うのかもしれない。動物性の脂肪を摂ってもそれをしっかりと体を動かして燃やしてしまえば、そんな血管が詰まるとか何だということはないのかもしれない。でも、今、先進国では多くの人が運動不足で体を動かしていない。そこに大量の動物性の脂肪にお砂糖、と来れば無駄なお肉が体についてしまうことは言うまでもない。で、血管が詰まったり、糖尿病になったり、がんになったり、とにかく病気になる。だからこそ、その負の連鎖の大元を断ち切る、というのが菜食であり、この本で言うところの食事法なのだと思う。つまり、脂肪を摂りすぎて自滅していると言ってもいいわけだ。本来、体の脂肪というものは食料がなくて食べられないことになっても困らないようにするための予備のものだった。でも、動物の脂肪がおいしいからと食べ過ぎて快楽のおもむくままに食べた結果、それが身を滅ぼすのだ。
 それからこの本ではなかなかシビアなところが突かれていて、読んでいて痛快だった。それは詰まるところ、お金が絡んでいるということだった。お金。それが絡んで今の状況が作り出されている。
 医者は言うまでもなく、お金儲けという側面だけを重視すればその方向へと走ってしまう。心臓の病気を良くするための手術。これが本当にすべて必要かどうかと言えばどうやらそうでもないらしい。対症療法的なものに過ぎず、手術をしても症状を緩和させるだけでしかないらしいのだ。わたしは専門家ではないけれど、素人の直感で考えるなら、やはりそこに無駄な医療というものがあるのだと思う。やれば病院が儲かる。医者が儲かる。だから手術をする。アメリカの場合、そうした心臓外科医はものすごく懐が潤っているらしい。日本円で数億円レベルの収入を得ている外科医もいるらしいのだ。
 だからこそ著者のエセルスティン先生は問うのだ。崖から落ちて瀕死の状態になってから助けるのではなくて、そうなる前にどうにかするのだ、と。それこそが本当の意味での倫理的な医者としてのあり方ではないかと、そういったことが本には書いてあってものすごくわたしはうなずいた。何か重い病気とか瀕死の重傷になってから、そこから必死に手を施すことばかりを考えるのではなくて、予防的な医療を重視する。病気にまだなっていない人やなり始めの人、そして、ある程度進行してしまったもののまだ普通の生活を送れている人。そういった人にどうすればこの病気にならずに済むのか、どうすれば病気の進行を止めることができるのかということを医者としてしっかりと教える。それをしないで悪化して悪化してもう死にそうです、になってから初めて処置をするのではもちろん処置も大がかりな手術とかになってしまうし、その分費用だって人手だって労力だってかかってしまう。
 とは言うものの、こんな人もいるのかもしれない。「俺は死ぬまで好きなように生きたいんだ。最後まで大好物の焼き肉にステーキにケーキにと人生を謳歌していたいんだ。死んだら死んだで別に構わない。それだけのこと」。そこまで言うのだったら医者も何も言えない。でも、あらかじめ選択肢が示されているということは重要なことではないかと著者も言っているんだ。が、今、その選択肢が示されているだろうか。明らかにされているだろうか。否、なのかもしれない。
 もしもの話だけれど(実際にはあり得ない話ね)この地球上から肉食がなくなってみんながみんな菜食のヴィーガンになったらどんな感じかなって想像することがある。そうしたら、今よりも心血管系の病気になる人や脳卒中なんかになる人も少なくなっていて(ほとんどいなくなっていて珍しい存在になっているのかもしれない)、そしてがんになる人の数も減っていて、それらが原因で死ぬ人もまれになっていることだろう。そうなったら半分か、いや、もっと多くの医者が廃業を余儀なくされるだろうなって思う。病気の人がほとんどいなくなってしまって仕事がない、みたいな感じになっているんじゃないかな。
 まぁ、ぼちぼちやっていくんですな。生きていくんですな。自分がいいと思った道を、やり方で進んでいくんですな。というわけでもう今年も終わりの12月の30日。ヴィーガン破りの買い込んだおせち料理を目の前にして自分自身の行くべき方向性を見定めている。そんな感じのわたしなのです。ってわたしのことはいいので皆様、ぜひこの本を読んでください。この本の通りにやっていればおそらく心臓病とは無縁でいられることでしょう(断定はできないし、この本の出版社ならびにわたくし星は責任を負えないけれど)。自己責任でやってくだされ。無責任と思いつつも最後は誰も責任は取ってくれないものなのです。と突き放しましたところで(これじゃあ誰も買ってくれないよな)皆様よいお年を。ではでは。



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