言い返すのではなく

いろいろエッセイ
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 今朝は5頃起きたものの、何もやる気が起こらず、頭の中で昨日の出来事をこねくり回していた。が、そうしても一向に事態は良くなるわけでもなく、ただどうしたものかとうだうだ考え続けていたわたしなのであった。
 わたしが人生で行き詰まったり、困ったりすると必ず開く本がある。デビッド・D・バーンズ『いやな気分よさようなら』である。この本は、特にうつになりやすい人にとって最適な本で、大抵のお悩みについていい処方箋を出してくれる。そんなわけで、今回もこの本を読んでみることにしたのだった。
 本を読む前のわたしの精神状態が10点中4点くらいだったとすると、それが7、8点にまで読み終える頃にはなっていた。ありがたい。この本との相性がいいこともあるかもしれないけれど、それにしてもこの本はよく効く。
 わたしが悩んでいたこと。それは自分に向けられた批判的な意見にどう対応するか、ということだった。先ほどの本を読むまでは、このブログで批判者に対して(いや、助言者とでも言う方が正確かもしれないが)大反論をしようかと考えていたくらいなのだ。そして、スカっとする。そんなことを考えていた。けれど、バーンズ先生の文章を読んだらそれが一番良くない対応の仕方だと言うのだ。どう良くないかというと、それをやってしまうと相手との人間関係が壊れてしまうし、何ら建設的な問題解決法ではないとのこと。

 批判的な意見に対し防衛的、報復的なやり方で自分を守っていたら、将来の建設的な関係はもちにくくなるでしょう。だから、怒りが爆発して一瞬気持ちよく感じるかもしれませんが、長い目でみれば良い結果は生まれません。それにどんな批判を相手が言いたいのかを学ぶ機会を失ってしまいます。そしてさらに悪いことには、あなたに抑うつのフラッシュバックが起こり、自分の感情を爆発させ自分を罰してしまう結果になります。(デビッド・D・バーンズ『いやな気分よさようなら』p147)

 まさにわたしは防衛的、報復的なやり方で自分を守ろうとしていたのだった。それではまずいとバーンズ先生は言うのだ。たしかに自分に置き換えて考えてみても、そうした態度を相手からされれば、よりこちらの攻撃もエキサイティングすることは言うまでもないことだし、建設的な話を相手としたり、良好な人間関係を発展させていくことは難しい。それから、相手の批判が適切なものだった場合、それを「何を言ってるんだ」と聞く耳を持たずにただ反発するだけでは、自分にとっての貴重な成長する機会をも逃してしまうことになる。せっかくのチャンスを失ってしまうのだ。だからこそ、開かれた姿勢が必要なのだ。批判に対して開かれているかどうか、というのは大きい。批判をすべて無視する時、人は独りよがりな独裁者となる。
 考えてみれば、批判というのは、相手を良くしようと思って向けてくれている言葉ではないか。批判の中でも助言を超えたクレームでさえも、相手にこうなってほしい、こうしてくれたら、という思いを込めて投げ掛けているものなのだ。だから、そうした言葉に対して「何言ってるんだ」みたいな言葉を返そうものなら、その場の雰囲気は険悪になって収拾がつかなくなる。それは相手の思いを無視したからだ。相手の希望、願い、思いを顧みることをしない。それはつまり、その批判している人を尊重できていないことを意味する。大切にできていないのだ。
 人は誰しも自分のことを大切にしてほしいと思う。大事に扱ってほしいと願う。それがなされない時、不満が生まれるんだ。もっと自分のことを大切に扱ってほしいという欲求がほとばしるんだ。だから、相手にこうしてほしい、これをしないでほしいと訴えるのだ。わたしはそれが批判であり、要求であり、クレームであったりするのだと思う。そして、その思いが無視される時、人はどのような行動を取るかと言えば、逃走か闘争をするのである。逃げるか、闘うか、のうちのどちらかを選ぶんだ。
 しかし、ここでバーンズ先生は第三の道があることをわたしに教えてくれた。逃げたり、闘ったりするのではなくて、相手と和解して共に歩んでいく道をである。批判を受け止めて、自分に貴重なことを教えてくれたことを相手に感謝し、むしろ自分が相手を傷つけてしまったこと、落ち度があったことを謝る。バーンズ先生はこうしてみたらどうか、って本の中で言うんだ。
 わたしは感動した。わたしがもし誰かを批判して、その人からこんな対応をしてもらえたらすごく嬉しいし、その人と今後も良好な人間関係を築いていきたいと思うよ。反対に、「お前は何言ってるんだよ。間違ってるのはそっちだろ」みたいな言葉を返されたらもうその人とは人間関係を終わらせたいなって思うだろうな。この対応の劇的な違いは一体何?、ってなくらいバーンズ先生の対応は良心的であって、優しさがあって、さらには建設的だ。
 この文章、彼も読んでくれてるかな。だとしたら、全部手の内を明かしてしまっていて、わたしの弱いところをさらけ出しちゃっているけど、まぁいいかなって思う。
 素晴らしい考え方ややり方があったら自分で独り占めしているのではなくて、みんなでシェアしたくなってくるんだ。そして、わたしの影響力は微々たるものだけれど、少しでも誰かが幸せになってくれたら嬉しいな。
 てなわけで、わたしのピンチを毎回救ってくれているこのデビッド・D・バーンズ『いやな気分よさようなら』。ぜひとも一家に一冊の名著であります。よかったら買ってくださいね(って最後に宣伝?)。いやいや、本当いい本ですから。読まなきゃ損損。

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