もう15年くらい前の話。
その頃のわたしは寝ていることしかできなかった。
朝(というかほぼ昼)起きてごはん食べて、寝る。で夕方起きてごはんを食べて、またしばらくしたら就寝。
あの頃のわたしは寝逃げしていた。起きている時間が苦しくて、つらくて、嫌で、耐えられなくてとにかく寝ていた。寝ている時、その時だけが心が安らぐ時で、それ以外に何物も見出すことができなかった。
あなたは落ち込んでいる。っていうことは今のままじゃダメだとか、もっと良くしたいって思ってるってことですよね? でも、それができなくて悩んでいる。できてたら悩まないよ。その通り。
でも、とりあえず今のままでいいんじゃないかなぁ。それでいいんじゃないかなぁ。
何もできてないって悩んでいるあなただけれど、悩んでいるってところがすごく前向きで素晴らしいとわたしは思うんだ。だって、本当に問題意識もなくひたすら寝ている人だっているわけだからさ。
あなたがここまで必死になってこの問題に取り組んでいるにもかかわらず、一向に解決しそうもないのだったら、まぁ、時の流れに身を任せてみるのもいいんじゃないかなってわたしは思う。
あなたはおそらく「普通」とか「常識的」という言葉に縛られていて、その通りにできないことをすごく気にされているんだと思う。でも、そういったものはあることはあるんだけれど、わたしはまやかしじゃないかって思ってるんだ。仮に普通の人になれたところで、ただそれは世間で言うところの普通の人になっただけでしかない。で、世間や社会や人様から「普通にやれてますね」ってほめられるだけ。それでもあなたがどうしてもその普通になりたいんだ、と言うのであればそれを止めはしない。わたしはね、あなたに普通ではなくて、幸せになってほしいんだ。だから、今こうしてお節介な文章を書いている。その幸せが普通の枠内にあるのであれば、普通を目指すことには意義があると思う。けれど、あなたの幸せがその枠から外れるのなら大いに外れてほしいなって思うんだ(自分や他人を傷つけることはしないっていうことは守った上でね)。
寝ていることしかできないと悩んでいる。いいじゃないですか。素晴らしいですよ。自分を良くしよう、向上させようとあなたは一生懸命なんですから。
わたしもね、あんまり大きな声では言わないんだけれど、寝ているまでいかないものの、やる気が起きない時ってありますよ。それもしょっちゅう。1時間とか2時間くらいやる気が起きなくてぼけーっとしてるわけ。でもね、やる気が起きないもんは起きないんだから仕方がないと割り切るようにしたんですよ。というか、その何にもやる気が起きなくて無為に過ごしている(ように思われる)時間だって自分の人生の大切な時なんだと思えば、何だか見えてくる世界が変わってきませんか?
あなたもわたしもきっと真面目なんでしょう。だから、こうあらねばみたいなものを掲げて、その通りにできないと途端に気持ちが落ち込む。こうあらねばが世間一般の「普通」だったり、憧れの誰々さんだったり、あるいは自分で決めたノルマなどだったりとあるとは思うけれど、別にその通りにできなくたって死ぬわけではないし、大きな損害をもたらすわけでもない。被害はたかが知れている。
わたしの言っていることは無責任なのかもしれない。「わたしのこと何にも知らないくせに無責任なことを言わないで」と反感を持たれるような言葉なのかもしれない。でもね、あなたのその悩んでいる姿、その姿が本当に人として素晴らしいなって思うものだからこうして書かずにはいられなかったんだ。あなたが悩んでいること。自分の思うとおりにできない、できていないと悩んでいること。それは本当に尊いことなんだ。すごく素晴らしいことなんだ。だから、一歩を踏み出せとか、~をやればいいみたいなことをわたしは言うつもりはない。そうではなくて、あなたが素晴らしいということ。悩めるあなたが素晴らしいっていうことをとにかく言いたかったんだ。そんなあなたへこの文章がエールになったらと思う。読んでくださってありがとうございました。
1983年生まれのエッセイスト。
【属性一覧】男/統合失調症/精神障害者/自称デジタル精神障害/吃音/無職/職歴なし/独身/離婚歴なし/高卒/元優等生/元落ちこぼれ/灰色の高校,大学時代/大学中退/クリスチャン/ヨギー/元ヴィーガン/自称HSP/英検3級/自殺未遂歴あり/両親が離婚/自称AC/ヨガ男子/料理男子/ポルノ依存症/
いろいろありました。でも、今、生きてます。まずはそのことを良しとして、さらなるステップアップを、と目指していろいろやっていたら、上も下もすごいもすごくないもないらしいってことが分かってきて、どうしたもんかねえ。困りましたねえ、てな感じです。もしかして悟りから一番遠いように見える我が家の猫のルルさんが実は悟っていたのでは、というのが真実なのかもです。
わたしは人知れず咲く名もない一輪の花です。その花とあなたは出会い、今、こうして眺めてくださっています。それだけで、それだけでいいです。たとえ今日が最初で最後になっても。