世間体とかどうでもよくなる瞬間

 わたしは独身で、もちろん子どももいない。となれば、親の気持ちを我がこととして知ることはまだできていないのだけれど、ある時こんなことを思った。次の話を聞いてほしい。
 わたしの知り合いに中学生の親御さんがいるんだけれど、その親がその子どもにものすごく過剰なまでに立身出世を望んでいるのだ。これからいい高校に合格して、いい大学にも合格して、いい会社に入って、みたいなね。あまりにも熱心で、その子が大変だなってわたしは遠巻きに眺めていたんだ。
 その親御さんはわたしが精神疾患だとか、過去に数回の自殺未遂歴があるとか知らないから、わたしも突っ込んだことは言えないでいた。が、わたしの経験から言えば、そんな学歴とかそういったことは生き死にの問題、つまり自殺未遂とか瀕死の病などのそういう問題が起こってしまえば、かすんでしまう、些細な問題なのだ、と思っている。
 不謹慎だね。星はこの弱肉強食の学歴・業績社会からドロップアウトしているから偉そうなことが言えるんだよ。実際にどの学校に行くかということは死活問題であって、生ぬるいことなんかじゃない。いい学歴が得られなかった人間は社会の底辺を這いつくばるしかないんだからね。
 その主張も分からないことはない。でも、それは生きていてこそじゃないのってわたしは言い返すつもりだ。
 いい学校も、いい会社も、いい暮らしも、いい老後も、すべては生きていてこそ。自ら命を絶つなりして死んでしまったら、いい○○も何もないよ。
 その中学生の親御さんにこれからどんな未来が待っているのかはわたしには分からない。けれども、きっとそのお子さんが生死にかかわる問題に直面して、学歴だの会社だの所得だのと言っていられなくなれば、ハッと目が覚めることだろう。そして、自分たちが何てつまらないことにこだわっていたんだろうって思うに違いない。死なないで無事に生きていてくれるということ。それはいい学校に合格するとか、ハイクラスな人生を送るとか、そんなこととは比べものにならないほど尊いことなのだ。
 過去の20代のわたしは人生に絶望して死のうとした。その経験から分かったこと。それは生きているだけで素晴らしいということだった。何ができるとか、何をやっているとか、そんなことは関係ない。そんなことは、ただ生きていることの尊さの前ではかすんでしまう。だからなのだろう。わたしは基本、人に努力が足りないとか、もっと頑張れとか言わない。そんなことを言うのは野暮なのだ。言ったところでつまらないのは目に見えているのだ。
 その中学生のお子さんが何だか苦しそうに見えた。必死でその社会で言うところのステイタスを求めて、それにしがみついて振り落とされないようにしているのが大変そうで苦しそうなのだ。
 と、ここまでの話を踏まえて(と言いますか)、わたしが子どもを育てるとしたらどんな教育方針で行くのか。まず、勉強しなさいとか言わない。むしろ「勉強なんかしなくていい。元気でいてくれればそれでいい」とお経か何かのように、耳にタコができるほど言い聞かせる。それから、家にはテレビを置かない。パソコンやスマホやタブレット端末も18歳になるまでは一切与えない。Pomeraのようなテキスト入力機器は与えるかもしれない。アナログで、とにかくアナログで行かせる。それとは反対に、本はどんどん買い与える。何か読みたい本があるようだったらすぐに取り寄せて読ませるようにする。ヨガをやらせるかもしれない。楽器を習わせるかもしれない(ピアノとかチェロとかヴァイオリンとか)。それから田舎に住むかもしれない。しつけとしては、自分と他人を傷つけない生き方をさせるように徹底する。優しい心が大事だとも常に言い聞かせるようにしておく。
 わたしにとって20代は本当に苦しかったけれど、決して無駄ではなかった。あの経験から学んだことはたくさんあって、ネガティブな体験も人生の糧なんだなって思う。中学生の親御さんがいつ開眼されるのか、それは分からない。でも、わたしはそのことに気付くことが一番大切ではないかと思うのだ。生きていてくれている。元気でやっていてくれている。ただそれだけで、あとは何も要らない。と言いつつも欲が出てしまうのがやっぱり人間なんだな。
 彼らと彼らのお子さんに壮絶な体験がこれから先、ないならない方がいいけれど、それでも彼らが何かをきっかけとしてそのことに気付いてくれたらなとわたしは願っている。本当に大切で尊いこと。それは当たり前のごくごくありふれたことなんだと思うな。

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