自分を大切にしたい

 わたしが置いたものがそのままになっている。何だかそれがとても不思議で奇妙なことのように思えてきて、こわくなる。本当にわたしは数分前にもそこに存在していたのだろうか。もしかしたら、いなかったんじゃないか。そんな哲学病みたいなことをただ漠然と考えてしまう。
 わたしがあるということ。そして、わたしがわたしとして存続し続けていること。これがどうやら調子が下り坂に差し掛かってくると、不確定な感じがしてきてしまうのだ。
 目の前には鮮明に景色が映っている。けれど、どこか違和感がある。これが統合失調症の症状なのだろうか。離人感があるわけでもない。ただ、何というか不気味なのだ。
 わたしが何かをする。そうすると、物の配置や何やらが変化する。そこまではいい。わたしがやったことなのだから、当然のことだ。何も難しいことはない。けれど、わたしが感じているのは、言葉にするのは難しいのだが、わたしが連続していることが疑わしくなってくる、と言ったらいいのだろうか。さっきから同じことばかり書いている。またか、と思わずお付き合い願いたい。
 今思うに、何か当たり前のことに違和感を感じだしているようなのだ。当たり前の日常に時折現れるはざまのようなもの。この感覚、精神医学的に適当な概念があるのかな? 今度精神科の外来に行った時に主治医に聞いてみよう。何か適切なアドバイスをしてくれるかもしれない。
 わたしは普通に考えれば、昨日も二日前もそれより前もずっと星大地で、明日も明後日もそれから先も死ぬまで星大地だ。しかし、その連続しているという当たり前のことが揺らいでくるようで苦しい。本当にさっきのわたしはここに物を動かしたのだろうか? 動かしたと記憶してはいる。が、本当はどうなのか? わたしはいなかったんじゃないか? わたしは何をしていたんだろう? たしかにわたしはわたしをしていたようには思う。もちろん、記憶においてもわたしはわたしをしていた。でも、それが何だか確信が持てない。わたしはおかしいのだろうか。おかしなことを言っているのだろうか。
 もしかしたら哲学においてもこれは難問なのかもしれない。その難問をわたしが統合失調症を通してリアルに体験していて、疑問に思っている。その可能性も浮上してきそうだ。
 考えてみれば、わたしがわたしとして連続した存在であるというのは、確証することができない。おそらくそうだろう。常識的に考えれば当たり前のこと、とその程度の確認しかできないように思う。
 実はわたしは1分前には別の人間だったという疑惑を払拭するのは不可能なことのようだ。あるのは記憶と物的証拠だけで、それを証明することなどはできるわけがない。まぁ、記憶と物的証拠があれば証明できると考えるのが常識的だけれど、それすらも捏造されている可能性がある。何者かによってわたしの記憶が捏造され、五感で感じることのできるものが歪められて、ありもしないものをわたしは知覚させられている。その可能性も否定することはできない。星さん、やばいのかな。ちといかれてるのかな。自分で自分がこわいよ。
 ちょっと被害妄想入りかけてる? 何者ってだれさ? それが分かったら苦労しないよ。まさに陰謀論を展開する星なのである。
 わたしが見て、さわって、ふれて、かぎ、味わうもの。それらが実は存在していなかった、という結末もあるかもしれない。
 その可能性を完全に葬り去ることはできない。だったらもう信じるしかないじゃないか。わたしが知覚しているものが幻ではなくて、真実だと信じるしかないのだ。これが哲学が信仰にシフトする瞬間なのではないかと思う。
 わたしが1分前にもわたしをしていたのか、確証することはできない。それなら、そのことを信じるしかない。そんな崖っぷちに追いやられているかのようなわたしなのである。
 わたしが存在すると信じる。1分前にも、昨日にも、二日前にもわたしがわたしであったことを信じる。いや、信じたい。もしかしたらすべてが幻であって、それをわたしの鋭敏さがとらえているだけなのかもしれないが、わたしは信じたい。わたしが連続してきて、これからも連続していくことを。
 こういうことを考えていてもらちが明かない。わたしはわたしの知覚の外側で知覚することができないからだ。
 それよりも朝散歩や生活を整えて調子よく快適に毎日を過ごせていけたらと思う。実は今日、朝散歩ができなかったんだ。(お風呂には入ったけど)で、物置の片付けを2時間ほどぶっ続けでやっていたら、この違和感が現れ始めた。きっとこれは無理をしてますよ、っていうわたしからの警告なんだ。
 自分をいたわって大切にしていきたいです。自分の体と心の声を聴く。この当たり前でありながら、なかなかできないこのことを忠実にやっていきたい。そうしたら、こういうこと考えなくなるんじゃないかな。違和感も感じなくなるんじゃないかな。自分を大切にしていきたい。

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