師範代? 何か武術とかやってるんですか? いやいや、師範代とは格闘技の経験がゼロでありながらも、猫殺法を会得している母のことで、わたしが何か武術などをやっているわけではない。
幼少期から猫と暮らしてきた母は、猫パンチをかわす達人で、その受け流し方は芸術的だとも言える。大抵の猫からの攻撃はひょいひょいとかわすことができて、痛手を負うことはほぼない。
が、所詮はまだ師範代で不意打ちをかわせるレベルにまでは達していない。これができたら師範になれるものの、この壁を越えることができずにもう70歳近くになってしまった。
というわけで、師範代がまたやられた。今回は猫のルルのお尻をぽんぽんとたたいてあげていたら(猫は軽くお尻をぽんぽんされるのが好きなのだ)、最初は気持ちよさそうだったものの、少ししたらもう良くなって怒りのかぎ爪で急襲された、という次第なのだ。いかにもその場にいたかのような書きぶりながら、わたしはその時、居合わせなかったのでその様子は見ていない。
食器洗いをする時に濡れないようビニール手袋をしている母の姿が痛々しい。師範代はこんな調子で年に4、5回は未熟なためにルル姉さんにザックリやられている。
それでも師範代は正統派のキリスト教徒であるため、やり返さず平和主義を貫いている。ルル姉さんは聞いてみたことはないけれど、おそらく無神論者で唯物論なのだろう。
頑張れ、師範代! 師範への道は見えてきているぞ!!
1983年生まれのエッセイスト。
【属性一覧】男/統合失調症/精神障害者/自称デジタル精神障害/吃音/無職/職歴なし/独身/離婚歴なし/高卒/元優等生/元落ちこぼれ/灰色の高校,大学時代/大学中退/クリスチャン/ヨギー/元ヴィーガン/自称HSP/英検3級/自殺未遂歴あり/両親が離婚/自称AC/ヨガ男子/料理男子/ポルノ依存症/
いろいろありました。でも、今、生きてます。まずはそのことを良しとして、さらなるステップアップを、と目指していろいろやっていたら、上も下もすごいもすごくないもないらしいってことが分かってきて、どうしたもんかねえ。困りましたねえ、てな感じです。もしかして悟りから一番遠いように見える我が家の猫のルルさんが実は悟っていたのでは、というのが真実なのかもです。
わたしは人知れず咲く名もない一輪の花です。その花とあなたは出会い、今、こうして眺めてくださっています。それだけで、それだけでいいです。たとえ今日が最初で最後になっても。