面倒くさい人

いろいろエッセイ菜食
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 我ながらわたしって面倒くさい奴だと思う。何が面倒くさいかと言うと、食べ物について。そして、飲み物について。
 わたしが2ヶ月前からヴィーガン(完全菜食主義)となったことはこのブログにも書いたかと思うんだけれど、それだけでもかなり食事に制限が加わることになる。
 マッチングアプリなんかでは彼氏募集中の女の子たちが自分のことをプロフィール欄に書いている。旅行が好きです。食べ歩きが好きです。動物園が好きです。コーヒーが好きです。紅茶が好きです。よく喫茶店に行きます。まぁ、それがいけないわけではない。が、今のわたしにとってはそのほとんどがNGで今、挙げたようなものは全部ダメなのだ。
 旅行が好き。旅行って必ず食事をするよね、ホテルとか旅館で。となるとわたしはせっかくホテルや旅館の人が腕に手塩をかけて作ってくれた料理を食べることができない。理由はヴィーガンだから。お肉、魚、乳製品、卵、蜂蜜、全部ダメ。だからそんじゃそこらの宗教的戒律よりもよっぽど食事に制限があって厳しいし、食べるものは本当に限られてくる。食事の付かないところに泊まったとしても買ってこなければならないわけだから、コンビニで食べられるものって限られてくるし、またもやそうしたわたしの中の戒律(?)が厳しくくるのだ。
 食べ歩きが好き。まぁ、東京なら何とかなるだろう。ヴィーガン料理のレストランもあるみたいだから。けれど、地方の静岡という場所にはそんな洒落たヴィーガン向けのレストランなんてない。あるとしたら、居酒屋のサイドメニューのサラダ、冷や奴、枝豆くらいなもの。でも、そうした食べ歩きが好きな女の子と一緒に食べに行って、サラダ、冷や奴、枝豆をまるで修行僧か何かのように禁欲的に注文しているようではシラケさせてしまうだろうと思う。そうした女の子はお肉を食べ、魚を食べ、もう制限なく何の不自由もなく一緒に、二人で同じものを食べて「おいしいね~」と言い合いたいのだ。
 動物園が好きです、もダメ。ヴィーガンは動物園へは行かないものなんだ。動物園って野生動物を監禁して見せ物にしてお金を稼いでいるわけだからね。れっきとした動物への搾取をしている場所。そんな場所へ行って一緒に「ゾウださんだぁ~!!」と無邪気にはしゃげない。
 コーヒーと紅茶が好きで喫茶店へよく行きます、も△。わたし、コーヒーも紅茶も、さらには緑茶も飲まないんだ。だから、ドトールへ本当にたま~に珍しく行くと、決まってルイボスティーを注文する。昔はコーヒーもお茶類も普通に飲めた。でも、最近菜食にするようになって体が浄化されてきたからなのかコーヒーも紅茶も緑茶も体が受け付けなくなった。何か飲むと頭の中がカッカカッカして興奮して気持ちがかき乱されて落ち着かなくなるんだ。かえって飲むと頭の中が渇く感じがする。
 特に以前は、コーヒーについてはこれがないと落ち着かなくて、という感じでさえあって、いつかやめたい、やめられるものならやめたいと念願していたくらいだったのが意外とスパッとやめることができた。時がくればやめられるものなのね、とつくづく思う。
 世間一般でご馳走と言われているもののほとんどがわたしにとっては食べられないもの。というか、食事制限がない人が標準というか当たり前のことになっているから、ヴィーガン向けの食事なんてほとんど想定されていないんだ。というわけで旅行も外食もことごとくダメな星さんなのです。
 さらに最近ではカフェインを含む飲料に加えて、砂糖もやめようと思うようになった。何かねぇ~、お砂糖を使った食べ物や飲み物を摂るとその食べたり飲んだりした時はすごく気持ちが高揚していい気持ちになるんだけれど、それから、その後でむしょうにダルくなってやる気がなくなってくるんだ。これは血糖値がドーンと上がって、そしてドーンと下がったっていうこと。だからこうした倦怠感というかダルさがやってくる。で、実際砂糖をやめたら何だかすごくいい感じになってきた。ダルさに襲われることがなくなり、一日を生産的に過ごすことができるようになったんだ。
 が、ヴィーガンで動物などを使った食べ物がことごとくダメで、カフェインを含んだ飲み物もダメで、お砂糖もダメともなれば、外食なんてほぼ全滅でありましょう。
「ちょっとそこでソフトクリームを食べよう」
「牛乳と砂糖を使ってるから食べられない」
「じゃあ、コーヒーは?」
「コーヒーも無理」
「たこ焼き食べない?」
「たこと卵と牛乳を使ってるからダメ」
 ことごとく外では食べられないわたし。これって生きづらさを抱えてません?
 でもね、こんなこだわり(というか信念)が強いわたしのことを本当に好きになってくれる人が現れたらその人はそんなことでいちいち怒ったりなんかしないと思うんだ(というかこのことで怒るような人はこちらから願い下げだけどね)。となると彼女もヴィーガンの方がいいね。そうだ、そうだ。ヴィーガンの彼女を作ればいいんだ。別に大衆ウケするように食べたくないものを食べる必要なんてなかったんだ。わたしはわたしでいい。そして、わたしと気の合うナイスなパートナーを探せばいい。は~、何か安心した。
 むしろ、ヴィーガン料理を一緒に作ったり食べたりしてくれる人を探せばいいわけで、その方が話が早いし手っ取り早い。価値観が近い方が話も合うし、その方がきっとうまくいくよね。うん、そうだ、そうだ。
 でも、それにしても我ながら食事に制限が多いな。でも、これを食べると食物アレルギーで死ぬとか、そういう話でもないからまぁいいじゃないですか。己の信条に従って、しかもそれが倫理的な理由から食べないということであれば一本芯が通っているし、おかしなことなんかではない。だから、自信を持って胸を張っていい。
 ってちと真面目に書きすぎましたかな? いやはや、根が真面目な人間なもので油断すると(?)真面目になってしまうのですよ、文章が。
 面倒くさい奴。でも、それがわたしであって、わたしらしさをも持ち合わせている。人はみなそれぞれ面倒くさい奴なんだ。こだわりがあって、譲れない信念があって、やらないと心に決めていることが少なからずある。
 あぁ、今日も野菜スープが、大豆プロテインが、納豆が、玄米ご飯が、野菜が、果物が、ハーブティーが本当にうまい。だったらいいじゃないですか。食べるものはある。しっかりとあってお家で食べるぶんには何一つ不自由していないんだから。
 わたしに彼女ができたとしたらきっとわたしと似た人なんだろうな。
 多くの人にウケようとしなくていい。むしろ、ピンポイントで行く。狭く、マニアックに行く。その方が面白いし、はまった時には熱烈な支持や歓迎を受ける。それか、生涯独身もいいかもしれない。特にこだわりがあるわけではないんだ。ま、なるようになるさ。
 面倒くささ全開の星がこれからさらに面倒くさくなっていくのかどうか。こうご期待!!

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