終わりの平等

いろいろエッセイ
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 わたしは今のままではダメなのだろうか。そんなことを思う時がある。やはり、働いてそれなりの仕事をして、それなりの報酬を得る。そうしたことが必要なのではないか。
 仕事。働くということ。考えるだけで気が重くなってくる。正直なところを言ってしまえばわたしは働きたいとは思えない。サービスを提供する側になりたいとは思えない。それよりも気ままにお客さんでありたい。給仕する人とされる人がいたら、される方でいたい。快適に心地良くいたい。
 それはねぇ、星さんすごくワガママだよ。言われるまでもなくそれは分かっている。わたしは自己中心的でワガママなのだ。要するに自分は何も労苦せずに、おいしいとこだけ味わう。ただ乗り。フリーライダー。
 こんなことを書くとまたおそらくわたしの少ない読者が離れていく。けれど、それならそれでいい。わたしの飾らぬありのままを「いいね」と言ってくれる人が数人であってもいてくれればいいのだから。
 この社会では言ってはいけないことがある。それは、努力は報われるということが嘘だと言うこと。人間は平等だということに建前ではなっているけれど、平等ではないと言い切ってしまうこと。
 努力って必ず報われるわけではないよね。ある人は毎日死ぬような思いで努力しているのに、ほとんどその成果が現れない。一方、要領がよくて器用な別のある人はさほど努力もしていないのにその結果を出せない人をやすやすと追い越していく。
 みんな違う。もともと持っている能力というか、才能というか適性も一人ひとり違う。だから、同じことをやっても同じようにはならないし、同じように結果を出せるわけではない。
 わたしが最近嫉妬しているのがあるブロガーでその人は月最高で1200万円稼いだという。月だよ、月。年じゃなくて。何だかこういうことを聞いてしまうと、わたしがとてもみじめな人間のようではないか。その人の稼ぎの1%以下のお金で毎月カツカツしながらやりくりしているのだから。
 人間って平等なんでしょう? だったら何でわたしは月1200万円のお金をもらえないの? そのブロガーもわたしも同じ平等な人間なんでしょう? だったらわたしにも同じだけのお金が渡されなければおかしいよ。
 ってそのお金はそのブロガーが懸命に稼いだやつだよ。それを何で何もやっていない星さんが同じようにもらうわけ? それこそおかしいよ。
 うむ。だったら人間は平等なんて言わないことだな。人間そのものの価値は平等かもしれないけれど、一人ひとりの待遇というか扱われ方は平等ではない。世界を見れば、貧困に苦しんでいる貧乏な人はスラム街で本当に食うや食わずやの生活をしている。一方、世界の富豪たちはそんなこと全く関係ないとばかりに自分の資産をさらに増やし続けていて、好き放題贅沢に暮らしている。
 もしも人間が平等でなければならないと言うのなら、みんな同じだけのお金をもらって同じ水準の生活をしなければならない。誰かがたくさんもらっていたり、少なかったりなんてことはあってはならない。何かおかしなこと言ってますか?
 しかし、こんなことを言っても意味がないということは分かっている。この日本を含めた世界はそのようになっていて、それが支配しているのだから。じゃあ、その中でやっていくにあたってどうするのが一番賢いのか? 賢明なのか? 富を手に入れたいのであればこの世界のやり方に従って、いわば迎合していかなければならない。人間は平等なのだから金をよこせなどと言っても、それでは思想的には正しくて正当だとしても、やっていることは銀行強盗と何ら変わらない。この世というゲームの中でうまく振る舞えるかどうか。それ次第でこの世での成功が近づいたり遠のいたりする。で、その一つが学校に行ったりとしかして学歴を得たり、資格を取ったり、仕事をして職歴を得たり、あるいは何かの賞を取ったりなどということなんだろうなと思う。
 そう考えていくとわたしなどは成功のレールから外れてしまった脱落者だ。みんなが「この列車に乗っていけば生涯安心だ」という一般的なところからドロップアウトしているわけだ。となれば、あとは細々とやっていくか、徐々にステップアップしていってまたそのレールに戻るか、はたまた一攫千金を一芸に秀でることで狙うか、この三択なんだろうな。
 ここまで赤裸々に読者が一人もいなくなるかもしれないと思いつつ書いてきたけれど、最後にというか、ふと思ったことがあったのでそのことを書きたい。それは気持ちがくさくさして庭のキャベツの前に行ってみた時のこと。電線に鳥が止まっていたんだ。今朝なんだけれど、雨が降っていてその鳥はしきりに体を振るわせて水滴を払い落としていた。その鳥を見ていたら何だか自分がつまらないことにこだわっているように思えてきたんだ。その鳥がさっきの月1200万円稼いでいるというブロガーと0円のわたしを見たら何て思うか。何も思わないんじゃないか。ただ二人の人間がいる、で終わりみたいな。その鳥から見たらわたしたち二人の間には優劣も何もそんなものはない。ただ二人の人がいる。それだけ。
 お金をたくさん手に入れたいものだと思う。けれど、それはそれだけのことでしかないのではないか。負け惜しみを言っているのかもしれないけれど、それ以上でもそれ以下でもない。ただ一人の人がもう一方の人よりも多くのお金を手にしている。それだけのこと。どんなに稼ごうが、それによって「俺は市場価値の高い人間なんだ」と誇らしい気分になったとしても、人間は死ぬ時になったら死んで天へと召されていく。そこに優劣はない。たしかにこの世での扱われ方は決して平等だとは言えない。しかし、誰も彼もみんな平等に死んでいく。誰かが死んで誰かが死なないなんてことはない。みんな死ぬんだ。平等に。そして確実に。どんなにこの世で快適な暮らしができておいしい思いをしても、どんなに悲惨で苦しい思いをしても等しく死んでいく。それでいいじゃないか。社会的成功も名誉も地位も別にいいじゃないか。みんな平等に死んでいくんだからさ、とね。富豪もスラム街の貧しい人も最後の最後で平等に扱われる。それでいいじゃないか。なんて言ったら、言ってしまったら格差是正とかこの社会を世の中を良くしていこうなんていう運動なんかは意味や意義を失ってしまうけれど、わたしは究極的にはそれでいいんじゃないかと思うんだ。
 とか書きながら星が収益を得るための記事を精力的に書き始めたら本当笑い話だけれどね。その時は、「あぁ星さんもお金がほしくなったんだな」と暖かく寛大な目で見守っていてくださいまし。
 読んでくださいましてありがとうございました。星はこれからもお金にならない記事を書いていきますよ。とか言ってるのに収益を得るための記事が投稿されてる、なんていうことがあったりして。あはは。それはそれで面白いよね。本当、うける~。

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