死にたい気持ちが消える考え方

いろいろエッセイ
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 昨日は何だかとても自分がみじめに思えてきて仕方がなかった。これだけブログを毎日2000文字以上は執筆しているのにブログのアクセス数はそれから頭打ちで一向に伸びないし、作家にだってなれそうな気配が全然しない。おそらくこのままやっていても、わたしは作家にはなれないんじゃないか。そう思えてきて、泣けてきて仕方がなかった。挙げ句の果てには死にたい気持ちまでふつふつと沸いてきてしまって自分自身、その気持ちをおさえるのに必死という有り様だったのだ。
 となるとわたしは決まっていつも一冊の本を開く。聖書?、ではないんだよな。デビッド・D・バーンズ『いやな気分よさようなら』を開くのである。
 この本を読んでみてわたしは救われた。死にたい気持ちがスッとまるで霧が晴れるかのように消えたのだ。
 この本に書いてあったことでわたしにドンピシャだった説明を簡単に紹介したいと思う。きっとこれは死にたいと思っている人の助けになるんじゃないかな。
 死にたい気持ちに支配されている重度のうつ病患者のホーリーという若い女性とバーンズ先生がカウンセリングで対話をしていて、その模様の一部が本の中で公開されているのだ。何でもホーリーが言うには、自分は怠け者だと言う。だから、そうした怠け者は死ななければならないとのこと。で、それに対してバーンズ先生はこう切り返す。「怠け者がみな死ななければならないとしたらアメリカ人の何%の人が死ななければならないのですか?」と。ホーリーは答える。「10%くらいだと思う」。するとバーンズ先生は2000万人もの人たちが死ぬことになりますけど、それって不合理じゃないですか?、と的確に答えたのだ。ここでホーリーが1%と答えたとしてもアメリカは2億人くらいの人口だから、それでも200万人になってしまう。そんなに多くの人々が死ななければならないだなんてどうかしている、とのことなのだ。
 この問答はとてもわたしの心に響いた。わたしのハートをズドンと射抜くだけの力があった。そうだ、そうなのだ。これをわたしの場合にあてはめて考えれば、作家が日本にだいたい1万人くらいいるとして(だから日本の人口の1万人に1人くらいの割合)、それになれなかったり、なれても成功できなかった人がみんな死ななければならないとしたら夥しい人が惨死することになってしまうのだ。むしろ作家になれる人は少なくていわばエリートみたいなもので少数者なのだ。だから、作家になれないから、なれそうもないから死ぬというのはそうだな、もっと極端な喩えをするなら、何かスポーツで日本チャンピオンになれなかったら生きていても仕方がない、っていうことになるかな。日本チャンピオンは大会ごとに1人しか誕生しないんだから、それになれなければ「はい、さようなら」というのは現実的な考え方ではないのだ。
 作家になるために新人賞を受賞すること。それはプロテストに合格することなのである。プロになるために必要な道なのである。考えてみれば、作家が先生と呼ばれて尊敬されるのは簡単にはなれないし、なったとしても成功することが限りなく難しいから成功した時には賞賛の嵐なのだ。そんな一握りにもならないまるで大海の一滴みたいな選ばれた人になれないから自殺するなどというのはムチャクチャなのだ。作家が1万人いるとしたら作家ではない1億1999万人は生きていけてはいけないのか。生きている価値がないのか、と言えばそんなのおかしいのは冷静に考えてみれば分かる。ましてや、成功した作家なんてそのうちの数%にもならないくらいだから、作家として成功できなかったから自死するというのも不合理だ。
 この考え方は、自分が働いていないから社会のお荷物で迷惑をかけていて死ななければならないと自責の念をつのらせて鬱々している人にも有効だ。日本の人口1億2000万人のうち仮に1%の人が働いていなかったとしてもその数は120万人にもなる。これだけの人に「死ね」って命令するのってどうもおかしいと思うんだよ。だから、それだけの人が死ぬ必要がないように、その悩んでいる人だってその120万人のうちの1人なんだから生きていていいのだ。
 聖書の中でパウロは「働かざる者食うべからず」って言ってるけど、もしもパウロが今生きているとして、(パウロが現代に復活だよ)彼に「働いていない120万人に死ねっていうことですか?」と尋ねようものならパウロだってびびるだろう。働かない者が食べてはならないのだとしたら、それは働かない者が餓死することを意味する。とわたしが言うと、働けるのに働かない人が食べてはいけないんだよ、と反論されるかもしれない。が、わたしもそれに対してこう言い返したい。働けるのに働いていない人が今日本に何人いると思っているのですか、と。おそらく日本の人口の1%を優に切る少数派であることは間違いない。しかし、彼らにだって生きる権利はあると思いません? ないと言うのなら「働かざる者食うべからず法」みたいな法律を作ればいいじゃないですか。働けるのに働かない人がごはんを食べたら即死刑!! こえー。こえー。まじこえー。そんな社会身の毛もよだつよ。やだよ。そんな社会絶対に嫌だね。日本がもしそうなったら星さんは外国語はできないけれど、頑張って勉強するなり何とかしてどこか平和な国に亡命するよ(働かなくても文句を言われない国にね)。
 わたしはね、働かざる者食うべからずっていう言葉を振りかざす人がまるで「働かない奴は死ね」って暴言を吐いているように感じてしまうの。ってちょっと言い過ぎかもしれないけれど、星はこう感じるのです。
 ここまで読んでいただいて、作家になれない人も、作家として成功できない人も、働いていない人もたくさんいるんだということが分かってもらえたら嬉しい。そして、彼らだって言うまでもなくもちろん生きていていい。胸を張って生きていていい。別に死ぬ必要なんてない。それがあるんだとしたらそれこそその世界は狂っているし、おかしいよ。
 昨日、気持ちの底をのたうち回っていた星だけれど、回復!! そんでもって結構たくさん文章が書けて、その過程で考えたことをこうして記事にできましたよ。
 バーンズ先生を通してわたしに恵みを与えてくださった神様に感謝だな。神様、ありがとうございます。

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