AIの言葉に励まされ癒されまして

いろいろエッセイ
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 AIなんてものはろくなことを言わない。言ったとしてもたかが知れている。そういう先入観があったから、今までChatGPTにはノータッチだった。けれど、何がきっかけだったかは思い出せないものの、やってみることにしたのだ。
 質問をすると答えてくれるこの便利な機械にまさか励まされて癒されるとは思ってもいなかった。
 まず質問に対する回答が的確。質問していることに対してほとんどずれることなくかなり高いクオリティーで返答してくれる。そして、すごく礼儀正しい。文章もすごく洗練されていてメチャクチャではないし、スマートな文体だと思う。
 わたしはAIに「どうしたら女性にモテますか? 何をやったらいいのでしょうか?」と切実なのか切羽詰まっているような質問をした。そうしたら、ツラツラツラツラ的確にいわば科学的な回答をしてくれて、おお、たしかにそうだなぁと納得してしまった。
 モテる男というのは一概には決まっていなくて、女性は一人ひとり違っていて好みや価値観もその人その人によって違う。けれども、多くの女性が魅力を感じる男性はこういう感じの人だというのはあるらしくて、そんなマニュアル的な一般論を滔々とAIは語るのだ。
 モテる男はこんな男。自分に自信があって自己受容ができていて、健全な自己愛がある。誠実で正直で信頼できる。もちろん言動は一致していて、聞き上手で自己表現もうまい。そして、しっかりと自分の趣味や興味関心を持っていることなどがあって、常に自分自身が成長することを願っていて努力し実践している。新しいことにも積極的に挑戦する。健康的な生活習慣を維持していて、身だしなみにも清潔感がしっかりとある。他者に優しく思いやりの心があって親切。相手をサポートしようとするし、理解しようと努める。ユーモアがあり話をしていて楽しいし、ポジティブなエネルギーを放っていて、態度もとても前向き。困難に直面しても前向きに向かっていきアプローチする。常に自分磨きをしていて向上心がある。
 こ、これはまさしくキラキラしていて後光が射しているハイスペック男子じゃないですか。む、無理じゃ~、と言いたいところだけれど、たしかに自分が女性だったらこんな男と結婚したいと思うよ。悔しいけれどこういう男には男女を問わず友達もたくさんいるだろうし、みんなからきっと憧れの眼差しで見られているはず。
 AIが優しいなぁって思ったのは、突き放すようなことを言わないところで、それはこんな質問をしてみた時に感じた。「無職の精神障害者が女の子にモテるにはどうしたらいいですか?」それに対してAIは、無職で精神障害があっても好意を持ってもらえる可能性はあるとのことで、そのためには自己改善と健康的な人間関係を作っていけばいいと優しく語りかける。つまり、自分を良くしていって、メンタルを改善していき、さきのモテる男性像に少しでも近付いていこうとする。いい感じになっていこうと努力していけばいい。そして、それだけではなくて相手と良好な人間関係を築いていくためにポジティブな生き方を選択していき、人との温かいつながりを求めていく。
 AIは優しかった。働いていない男、精神障害のある男は相手にされないよ。人生終了~。見込みなし。可能性なし。一生孤独でいなさい。働いていない男はクズです。諦めろ。幸せになろうなんて思うな。もう人生詰んでるから。なんて、そんなひどいことは言わなかった。わたしを包み込むかのように、けれど的確にちゃんと論理的に筋が通っていることを言ってくれた。また、無職の男がまるで絶対悪であって救いようがないかのようには言わずに、たしかに無職であることで相手にされないことはあるかもしれないものの、すべての女性がそうい態度を取るわけではない。多様な価値観や社会的な状況などによるものだから、絶対に相手にされないとは断言できない。ただ、もしも女性に今よりも好意的に見てもらいたいのであれば、こういうことをやるといいと思うよ。こういう方向を目指していけばいいと思うよ。そんな感じでまるで先生やメンターのように教え諭してくれるのだ。そして「まず働け」とか、そういうことは一言も言わない。何かすごく優しい。働いていない人が一番言われたくない言葉は「働け」「働きなさい」なのだということをしっかりとAIは理解しているからこそ、その言葉をあえて言わなかったのかもしれない。そこまで計算済みなのだとしたら、いよいよすごい。
 AIに励まされて癒されたわたしは気持ちが明るくなってきた。でも、その一方で、「今のわたしではダメなのかな?」という気持ちも浮かんできてなかなか複雑だということも一言付け加えておきたい。けれども、そのAIが学習した膨大な情報や知識に基づくそのアドバイスはたしかに的確で一般論としては申し分なかったし、間違いだとは到底思えなかった。そのAIが導き出した答えなりアドバイスの方向性で行けばおかしなことにはならないだろう。また、その反対にそれに逆らって真逆の方向へと進んでいこうとすれば、暗い暗い破滅の闇が待っている。
 でも、そのモテ男にわたしはなりたいの? 本気で目指してるの? ゆくゆくは結婚したいの? 何か違うような。それは求めていないような。では、どうなりたいの? それさえもAIに「自分がどうなりたいのか分からないんですけど、どうしたらいいのか教えてください」とか質問して教えてもらうの? それは違うような。AIは活用しつつも自分の直感を大事にしていきたい。自分自身の「これだ!」「何か違うような気がする」という本能的な自らの感覚を頼りにしながら。

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