ベートーヴェンの第9は高らかに飛翔していくというのに、わたしの第9は底をずりずり足をひきずっている。
どうもー。調子が悪い星です。ぐだぐだしている場合ではないような不調。まぁ、いつものことよ、と割り切り始めてはいるものの、それにしても調子が悪い。昨日はあんなに調子が良かったのに、わたしときたらやってはいけないことをやってしまったのだ。
え? もう言わなくてもいい? さすがに第9弾ともなれば、マンネリ化のきざしさえ見えてくるね。でも言うよ。これが人類を救いの道へと到達させるためには必要な鍵なんだ。これなくしてはみんな滅んでしまうんだよ。だから、言う。もったいぶったね。だから、言う。かー。もっと、もったいぶって言う。え? もう言わなくてもいい? わかってるから? ここまでもったいぶらせて、言わなかったら読者の皆様が怒るよ。
いや、この一言に全人類の存亡がかかっているのだから、みんな固唾を飲んで見守っている。
で、そこに長老となった星が登場。推定92歳の星殿はそれはそれはありがたい言葉を放つのだ。老人はしわがれた声でつぶやく(しかもどもってさえいる)。「パ、パ、パ、パソコンとポルノじゃ」。
一同は、いや、全人類はこの重大発表になるほどと何度も何度もどよめきながらうなずく。小さな子どもはきょとんとしている。パソコンは分かっても、ポルノという単語の意味が分からないらしい。「パパ、ポルノって何?」一瞬、戸惑いの表情を見せるその子の父親。星さん、また問題を生み出してるよ。「ママ、ポルノって何?」別の子どもが母親にたずねる。「ポルノっていうのはね……、わたしたちが滅びるかどうかにかかわってくるものなのよ」うまくかわした(?)母親。
「滅びるとどうなるの?」
「人間が一人もいなくなってしまうのよ」
「そんなのやだぁ」
「でも、これは本当のことなのよ。しっかりあなたがこのことに向き合わなければダメなのよ」
「どうしたらいいの、ママ?」
「ポルノを見ないようにすればいいの。そうすれば、みんな滅びないで済むのよ」
「分かった、ママ。ぼくはポルノなんて絶対に見ないよ。見るもんか」
「そうよ。そうでなくてはダメよ。そうしなければ人類が滅んでしまうんですもの」
「長老の星さま、このことを世界中に伝えてください。さもなくば、神の怒りが地上に降り注いで、地球は火の海になってしまうことでしょう。あなたさまが神様から告げ知らされた真理をすべての人に伝えて警告しない限り、人類に希望はありませんわ」
何か話が人類の存続とか何たらとかオーバーなことになってしまっているけれど、実のところそんなことはなくて、星がただ調子が悪くなる原因ってことだけなんだけど。
長老の星さまは告白する。「パソコンがやめられないのじゃ。ポルノをやめることができないのじゃ」。
ってたったそれだけのことに、ここまで長い尺を使って無駄に文章を展開させてきたわけか。人類はあまりのあっけない言葉に総ブーイングだよ。「星がパソコンとポルノをやめればいいだけだろ」「つまらないことに俺たちの時間をとらせるな」「お前の下半身事情なんてどうだっていい」
うー、人類さまは冷たいのう。いつからこうなってしまったんじゃ。あれは70年ほど昔のことだったかのう。便利な文明の利器が登場してきたのじゃ。そこからじゃ。そこから、人類が、多くの人たちが時間に追われ、焦燥感にかられ、心の余裕を、ゆとりを失ってしまったのじゃ。だから、今こそ、今こそ戦さの時なのじゃ。快適さをもたらすはずだった文明の利器と全面戦争をしなければならん。しかし、どう戦えばいいんじゃ? わしには権威もなければ、財力もない上に、あるのは言葉の力と中途半端な文明の利器であるPomeraだけじゃ。Pomeraもパソコンの仲間かのう? 仲間だと言い掛かりをつけられようものなら、もはや紙と鉛筆しかないのう。紙と鉛筆の、言葉の力でこの戦いに勝利するのじゃ。じゃが、その前にわしのこととして、パソコンとポルノをやめることができていない。どうしたもんかのう?
どこからか声がする。「ジジイ、うだうだ言ってないでやめりゃあいいじゃねぇか。それだけのことだろ?」
「それができないから悩んでいるのじゃ。」ジジイ、いや星の長老さまはしきりに反論する。
うだうだ? うだうだ? 今思ったけど、うだうだってぐだぐだの親戚じゃない? つまり、うだうだぐだぐだ書いてないでやめればいいってことだ。
でも、どうやって?
答えはわたしの心にある。アドバイスなんかしなくても、その人を信じることが大切で、そうすることによって道が開けていく。だから、逆にわたしは聞き返される。「あなたはどう思うの?」「あなたはどうしたいの?」その先におのずと答えはある。
って星さん、何やらうまくまとめようとしているけど、この三文芝居の果てにその結論ってお粗末すぎやしません? 星さ~ん、せっかく第9なんだからさぁ。もっと最後は景気よく終わろうよ。
よし、じゃあ、泣いても笑ってもこれでフィナーレだ。いいか。見てろよ。究極のフィナーレを見せてやるからな。もう二度とお目にかかれないようなすごいものを見せてやるからな。覚悟しろよ。
線香花火がぽとり。
すげー!!!!!!!!!!!!! 何てすげーフィナーレなんだ!!!!!!!!!
星さん、テンションおかしいよ。期待をものの見事にいつも通り裏切ったところでわたしの第9はそれはそれはしょぼく幕を閉じたのだった。

変な人。
普通ではないと思う。
わたしが思っていることを言うとみんなひく。
そして、目の前にシャッターを下ろされて、
まさに閉店ガラガラ~。
わたしは気が付くと蚊帳の外。
なぜなら、今、大人気の
カヤノソトボーイズの2期生の瞑想担当だから。
最近、瞑想してないけど。でも、瞑想担当なんで。
そう、なんか浮いてるの。
この世界、日本という社会から。
わたしは何だかんだ生きづらい人生を送ってきた。
「もっと苦しくてつらい人はいっぱいいる。
お前のは大したことないだろ」、と言うやついるけれど、
苦しさ、大変さ、生きづらさはその人が感じていること。
その人の苦しさを分かっているのはその人だけ。
気が付いたら職歴ゼロ、社会経験ゼロの立派なメンヘラのおじさん。
わたしはしゃべんないほうがいいと思う。
しゃべるとその見た目にあまりにもギャップがありすぎるから。
わたしが自分のことを語れば語るほど、
女の人はがっかりします。失望さえします。
でも、いいじゃないの。
普通じゃないのがわたしなんだから。
わたしは風になりたい。
風になってただ吹いていたい。
【属性】
男。大学中退。吃音。統合失調症。精神障害者。希死念慮あり。現実感の喪失。無職。プロテスタントのクリスチャン。ヨギー。スターシード。英検3級。茶髪。HSPとASDの可能性あり。細身筋肉質。
