ワルイド

いろいろエッセイ
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 なぜ満たされているはずなのにうつろで空虚なのだろう。なぜ空しいのだろう。なぜこんなに疲れているのだろう。何かすり減っている。特にこれといって何かをしたわけでもないのに疲労が漂っている。なぜだろう。なぜこんなに満たされないのだろう。
 満たされているべきと思うから苦しくなるのだろうか。満たされている状態が当たり前だと思うから、それが苦しみの原因なのだろうか。何と言うか絶好調が続かない。上がって上がって上って上って、ドーンと下がる。その繰り返しをしている。わたしを振り返ってみるといつもその繰り返し。ジェットコースターみたいに激しいアップダウン。
 もちろん楽しい時もある。嬉しい時もある。気分が高揚している時もある。けれど、それが終わりを告げて下降してくると、途端に今までの喜びがまるで幻であったかのような、そんな感覚に包まれるのだ。
 わたしは本当に存在しているのだろうか。今のわたしとほんの少し前のわたしは別人のような気がしてくるし、本当にわたしはわたしとしてわたしをやっていたのだろうか。こんな問いは馬鹿げた問いかもしれない。でも、それを証明するものは何もない。ただ、人々の記憶と物証をもって証明するのみ。それらが改竄されていないとは言い切れない。わたしは、1分前のわたしはわたしだったのだろうか。いや、何か違うような気がしてくる。これは病んでいるのか。精神疾患の典型的なあれなのか。
 わたしは時々、自分が過去、現在、未来と連続していることが疑わしくなってくる時がある。そして、手の甲、手首、指ばかりをただただ見たくもないのに眺めている。それをやっているからと言って何かを得られるわけではない。ただ、見ているから見ているのだ。そんな感じで30分から1時間くらいそれを続けている。そうするとますますわたしが存在していることが揺らぎだして不鮮明になってくる。自分が今存在していること、存在していたこと、そしてこれからもわたしとして存続していくことがまるで夢物語か何かのように曖昧になってくる。今自分が感じているわたしという存在は錯覚なのかな。ただいるのだと誤解しているのかな。
 わたしが不満なことは、自分が1秒ごとに古くなっていっていることだ。1秒、1秒確実に古くなっていき、酸化していき、まるで鉄釘が錆び付いていくかのように、わたしという存在もどんどん錆び付いていって、じきにポキンと折れてしまう。一番人間が若いのはいつかと言えば今しかない。その今からどんどん古くなっていく。味わいが出ていいじゃん、とか全然思えない。ただただ古くなっていく時間の流れに抗うこともできずにそうしてわたしは手の甲に浮き出ている血管をこれまた長々と眺め続ける。こんなことをしていても何にもならない。はっきり言って無駄な時間。何か別のことをした方が絶対いい。でも、見続ける。何のために? 目的なんてない。ただ見るから見るのだ。見たいのではない。見るから見るのだ。見たくないけれども見るから見るのだ。ただ、それだけ。それだけだったりする。
 神様もイエスさまも忘れてただただ手の甲を眺めているわたしはまさに何なのだろう。そんなことをしていても何にもならないのに、それでも自分の手を見続ける理由は何なのだろう。そんなこと考えたって分かるわけないじゃないか。見ているから見ているだけで理由なんて最初からはなからなかったんだ。
 満たされる。それは天国に行くまで本当の意味では得られないのかもしれない。神様のもとで安らいでいるのが本当に満たされた状態だとしたら、この世の自己実現も自己啓発もかすんでしまう。でもね、それでも満たされたいんだよ。それもどこまでもどこまでも満たされたいんだよ。どうしたらいいと思う? もうこうなったら神様をこの世界で求め続けるしかないんじゃないか。手の甲の血管眺めるのを強制終了したいとこだけど、それはできない相談だな。でも、でもね、神様を求め続けることはできそうだ。
 調子が悪くなるとわたしは手の甲ばかり眺める。神様もイエスさまも何にも考えられなくなってただただ手の甲を見てる。次何書こうってうまいこと書こうとしている自分が嫌だ。こんな自分糞食らえだ。こんな醜いウケ狙いだけがとりえのわたしも死んだら天国へ行ける。行けるさ。きっと行けるさ。それで天国で神様を拝んで賛美してる自分がいる。
 この文章、いつもと文体が違っていたことだろう。それもそのはず、メチャクチャに思ったことを垂れ流しているだけだからだ。思考が統制されていないと言ったらいいだろうか。ただ言葉がほとばしるままにほとばしらせてる。ウケ狙いなわたしは結局この文章がどれだけウケるかってことを考えてしまう。
 ウケ狙いの男は手の甲ばかり見てる。そうして不満をひたすら垂れ流している。
 今日はもう寝よう。ほとんど活動らしい活動はしてないけれど、それでもいいよ。まずは元気でいろよ。
 わたしが明日も明後日も明明後日も連続したわたしでありますように。そして、過去のわたしがすべて過去のわたしでありますように。最後に今が今でありますように。神様、わたしのこういう面倒くさい懐疑を吹き飛ばしてやってくだせぇ。
 調子が悪い。けれど、こんな文章を書かせてくれた神様はやっぱりワイルドなお方。それは確信できるね。神様、ワルイドなお方にちなんで全方向から集中賛美してみせますぜ。ワルイドって何なのか自分でもよく分からなくて考えてしまう。

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