【放送大学】『中高年の心理臨床』第7回 定年退職にかかわる心理臨床

いろいろエッセイ
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 1.定年退職にかかわる近年の動向

 2025年には年金支給開始年齢が65歳になる。60歳から65歳へと引き上げられるのだ。
 2012年に高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)が改正された。この法律は、定年の引上げ、引き続き雇うこと、再就職をうながす、仕事につく機会を確保するなどを行うことを旨とした法律で、高年齢者の職業の安定と彼らの福祉の増進をはかり、経済や社会を発展させることに貢献することを目的としている。なお雇用の継続については、就業規則にある解雇事由または退職事由にあてはまらない限り、原則として雇用を継続しなければならないことに今回の改正でなった。

 2.定年退職にまつわる心理社会的課題

 定年退職は人生の大きなライフイベントの一つであることは間違いない。定年退職が持つ意味は個人差が大きい。定年退職で生活様式、経済状況、対人関係などに大きな変化が生じる。定年退職を迎えた人たちは新たな環境に適応する必要があるのである。そのためには前向きに様々な努力を行っていくことが肝要である。
 高齢者を調査した結果(60歳以上の男性高齢者83名)は、現在の生活・活動への関与が積極的であるほど充足度が高いというものであった。
 また、定年退職後に現在の生活や活動への関与を積極的に行うには、老年期以前の心理社会的課題を達成しておくことが重要である。なお、その方法としては、自分史を書くことや、誰かに自分のことを語ることなどが挙げられる。

 3.定年退職にまつわる心理臨床的支援

 定年を控えたおもに50歳代の中高年者向けのキャリアコンサルティング技法があるとのことで、このセクションでは紹介されている。中高年者の①自己理解にとりかかる段階、②自己理解をさらに深め、将来に目を向ける段階、③具体的に将来を考える段階、の各段階に応じて活用することができるワークシートが用意されているのである。

 4.おわりに

 最近では、65歳以降も雇用を継続したり、70歳まで働けるようにしよう、などといった議論が出てきている。この調子で行けばもしかしたら定年がもっと上がっていくかもしれないし、もっと進んで定年という概念そのものがなくなってしまうかもしれない。

 <わたしの感想>
 定年という事柄について考えることができたことはとても良かったと思う。
 わたしは企業で働いた経験がないので、仕事とか定年とか想像することしかできなかったのだが、中高年にとって定年とはビッグイベントだということを了解した。一昔前の日本人の平均寿命が50歳くらいだったことを思うと、栄養状態や公衆衛生の改善、ならびに医学の発達によって今や80、90歳まで生きることができる時代になった。だからこそ、定年退職してからの時間がとても長く、その過ごし方が重要な関心事となってくる。そこでより良く過ごせるかどうかというのが、前向きに物事に取り組むことなのである。高齢者も作家の佐藤優氏の言葉を借りるならフタコブラクダ化していると思う。自戒の意味もこめて、すこやかな老後を送りたいものだとわたしは強く思った。


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