もしも精神疾患がこの世になかったら、とふと思う。その世界は素晴らしいものなのだろうか。それとも地獄のようなものなのか。
想像することしかできないけれど、もっとドライな世の中になっていたんじゃないかと思う。思い煩いのない、思い悩まない世界になっていたはずで、それはもう機械のようで人工的な世界。
その世界では人々が淡々と生きている。淡々とご飯を食べて、仕事をして、体を動かして、寝て、みたいな。そこには苦悩なんてものはひとかけらもなくて、ただ淡々としている。
そんな調子であれば、死にたくなったらほとんど無感情ですぐに自殺するし、他者も必要ないなと思えば何の躊躇もなく殺す。
そんな世界を生きていて楽しいかといったら、その世界の住人たちはまるで機械のような味気ない言葉を返すだけだろう。
わたし自身、自分が統合失調症になって良かったと思っている。もしもならずに、高校でも落ちこぼれることなくエリートコースを突き進んで社会的な強者になっていたら、もっと悲惨なことになっていたと思う。嫌な奴がさらに磨きがかかってもっと嫌な奴となっていただろう。そして、障害者なんて金の無駄だから始末してしまえばいい、と公然と言っていたはず。
だから、精神疾患はわたしにとって試練ではあったものの、それと同時に大きなかけがえのないものを教えて与えてくれた。そのおかげでわたしは人間らしくなれた。思い悩むことはあるけれど、それでも人として成長することができた。そんなことを今思う。

エッセイスト
1983年生まれ。
静岡県某市出身。
週6でヨガの道場へ通い、練習をしているヨギー。
統合失調症と吃音(きつおん)。
教会を去ったプロテスタントのクリスチャン。
放送大学中退。
ヨガと自分で作るスパイスカレーが好き。
茶髪で細めのちょっときつめの女の人がタイプ。
座右の銘は「Practice and all is coming.」「ま、何とかなる」。