かたつむり、面白いよ

いろいろエッセイ
この記事は約5分で読めます。

 かたつむりを飼い始めてもうかれこれ2ヶ月になろうかとしている。飼ってみるとそののっそりとしたマイペースさが面白い。まさにスローライフの象徴。彼らを眺めるたびに日々の喧噪はどこかへ飛んでいってしまう。かたつむりを眺めている時、わたしは心が落ち着いてゆったりできる。急がず、焦らず、そんなにカリカリしなさんな。そんなことを彼らに言うつもりがあるかどうかは別としても、わたしはそんなメッセージを受け取っている。
 もっとかたつむりのことを知りたい。というわけで本(脇司『カタツムリ・ナメクジの愛し方 日本の陸貝図鑑』)を買ってみた。一冊だけ読んでかたつむりの全容が分かったというわけではないものの、それでも読んでみて新しい発見があったのでそのことを書いてみたいと思う。
 まず、かたつむりって何の仲間なんだろう。それすら分からなかったわたしは「陸貝」という言葉に出会った。陸の貝と書いて陸貝。要するに、貝の仲間なのだ。かたつむりは海の巻き貝が陸に出てきて進化を遂げたものらしいのだ。どうりでかたつむりって貝っぽかったわけだ。で、陸に上がってきたものだから、かたつむりの殻は薄く軽くなった。さらにその殻すらもなくなったのがナメクジで、ちなみにナメクジも陸貝なんだ。まぁ、今回はナメクジのことは置いておこう。そういうわけで、かたつむりはアワビとかサザエなどの海の巻き貝と近いらしい。どうりで。どうりでわたしがアサリとかシジミをかたつむりを飼うようになってから食べられなくなったわけだ。何というか、アサリにしろシジミにしろ、ビジュアルはもちろん動き的にもかたつむりと似ている。かたつむりは貝の仲間で陸貝。このことがとても新鮮にわたしの中で響き渡ったのだった。
 次に、かたつむりの飼い方についても本を読んだら新しい発見があった。かたつむりたちにわたしはナスをあげていたんだけれど、野菜をあげなくてもどうやら紙でいいらしいのだ。というわけでぬらしたティッシュをナスの代わりにタッパーの中に入れたわたし。そう言えば、今まで保湿のために濡らしたキッチンペーパーを容器の中に入れていたら、それ食べてあったな。つまり、紙でいいんだ。野菜だと腐ってしまって衛生環境がすぐに悪化してしまうけれど、ティッシュなどの紙だったらすごく楽。腐らないし、入れてある容器のお掃除が簡単になるからだ。考えてみれば紙だってもともとは木からできていて植物由来なんだ。それを食べるかたつむり。著者の脇さんが言うには、トイレットペーパーが水に溶けるから消化に良さそうなんじゃないかとのことらしい。でも、まぁ、ティッシュでもいいんじゃないですか。同じ紙ですし、などと自己流を行こうとするわたし。大丈夫かなぁ。ま、大丈夫だろう(自己流)。
 さらにそのティッシュだけれど、水に濡らして固く絞るくらいでいいと本には書いてあって、今までわたしは割合びちょびちょにしていたからこれからは絞ろうと誓ったのだった。かたつむりは乾燥するのはもちろんダメ。でも、びちょびちょで湿度が高すぎるのもダメらしいのだ。だから、わたしが今までしていたキッチンペーパーでびちょびちょっていうのは良くなかったんだな。いやぁ、ためになります。
 これも本を読んで知ったことなんだけれど、かたつむりって肺呼吸らしいんだ。海にいる貝なんかはエラ呼吸。で、それが陸に上がって生活するようになったら肺呼吸をするようになった。さらに驚いたのがかたつむりって泳げないんだって。知ってました? いやぁ~、長距離は無理でも少しは泳げるもんかと思ってましたよ。だから、川とかあると渡れないものだから、その地域ごとに種がかたつむりでは固定しているらしいんだ。川を挟んでかたつむりの種類が異なるとか、そういうことなんだろうと思う。
 それから、かたつむりの殻を取ったらナメクジになるのかどうかと言えばならないんだって。そもそも、かたつむりとナメクジでは体の作りが違うらしいんだ。かたつむりの内蔵は殻の中にあるんだけれど、ナメクジは内蔵がむき出しになっているわけではない。体の中に内蔵がある。つまり、かたつむりの殻を強引に取り除いてしまうと内蔵が出てきてしまって(本には書いてなかったけどそんなことしたら死んじゃうんじゃないかな)、ナメクジと同じにはならないし、なれない。いやぁ~、素朴な疑問だけれど、かたつむりの殻をなくしてもナメクジにはならない。あはは、面白いね。
 それから、それから教会でかたつむりの話をしたらこんなことを質問されたので一応あげておきたい。かたつむりとヤドカリって同じようなものなの? かたつむりの殻ってどういうもの? かたつむりの殻は体の一部なのです。だから、ヤドカリみたいに別のものに変えることはできないし、そのかたつむりの殻は一生背負っていくものなんだ。背負うというよりは、体の一部だからね。かたつむりの場合は。
 最後に話のシメとして本を読んで一番意外で驚いたことを申しましょう。皆さんはかたつむりにも男女があると思われるだろうか。オスのかたつむりとメスのかたつむりが出会って交尾をして子孫を増やしていく。よくイラストでピンクのリボンをつけたかわいいかたつむりの女の子のイラストがあったりもする。が、それは誤りなのだ。がびーん、でしょ? かたつむりの場合、雌雄同体(しゆうどうたい)といって一匹のかたつむりの中には雄と雌、それぞれの生殖器官が備わっているんだ。じゃあ、何でかたつむりは交尾するの? それはね、自分だけでは生殖できないからなんだ。交尾で何をやっているかと言うと、お互いの精子を交換するんだ。で、お互いに精子を交換し合って受精してそれぞれ卵を産む。
 と大人に説明するのはいいんだけれど、これを子どもに説明するのは難しそうだな。かたつむりはね、男であって同時に女でもあるんだよ、などという説明を幼稚園児とか小学校低学年にしても理解してもらえるかどうか。おそらく無理だろうな。「えっ? えっ? どういうこと?」と何度も聞き返されることは必死だ。
 まぁ、この雌雄同体というのはすごく効率がいい。なぜなら、出会った別のかたつむりが同性で生殖活動ができない、なんていうことがないからだ。でも、雄と雌の二つの生殖器官を持つということはその分、体のスペースを取られたり、その分エネルギーが必要だったりとリスクがないこともない。でも、かたつむりの成長戦略ではこの道を取ったということらしいんだ。
 ここまで話をしてきて、面白いなぁって思うでしょう? ってそれはわたしだけ? 母にこの話をしたら面白いって言ってくれたんだけどな。
 日本人は1億2000万人くらいだけれど、かたつむりを飼っている人って何人くらいいるのだろうかねぇ。2000人くらいかな? いや、そんなにはいないか。ともかく、わたしのかたつむりライフはまだまだ始まったばかり。ゆったりと生きているかたつむりたちと共に楽しくやっていきたいな。できたらかたつむりの知識もぼちぼち増やしつつね。かたつむり、面白いよ。

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました